想像の余白

ハンドメイド布バッグ屋 ::: shiroi mokuren の庭  :::-人生の花 ハンドメイド布バッグ屋 ::: shiroi mokuren の庭  :::-人形つかい ハンドメイド布バッグ屋 ::: shiroi mokuren の庭  :::-蛍
私の好きな日本画家のひとりに、上村松園がいます。
昨年末、京都で上村松園展があり、行ってきました。
松園の絵はこれまで画集などで見たことがあるだけで、
生で見たことのあるものは、数点のみ…。
画集で見るだけでも、その圧倒的な空気感に魅了される松園の作品を、これだけまとまった形で見れるなんて!感激でした。
中でも、「虫の音」や「人形つかい」など、 実際には虫の音が聞こえてくるわけでもなく、 また虫が描かれているわけではないのに、 そこに虫がいて鳴いている声が聞こえてくるような作品や、 人形つかいはちょうどふすまに隠れていて見えないのに、 それを見ている女性や子供たちの表情を通して、 ふすまの向こうの人形つかいの様がありありと見えてくるような、 描かれていないのに、でも実際に描く以上にその情景が強く伝わってくるような作品が
いくつかありました。
このような作品につけられたタイトルは、もはや単なる状況説明的なタイトルではなく、 絵と共に作品の一部となっていて、とても生きています。
描かれた人物の表情、眼差し方やちょっとしたしぐさ、姿勢、ふるまい、タイトルなどから、 見ているものに描いていないものまで感じさせる…。
ことばの面白さの一つは、語っていないことまで語ることができる、そういうことばがある、というところにあると感じていますが、絵の魅力の一つは、描いていないものを描かれたものから、 どれだけ想像させたり、感じさせたりできるのか…というところにあるのかもしれません。
(画像:左から順に「人生の花」「人形つかい」「蛍」)