出会ったもの・こと」カテゴリーアーカイブ

雪の夜

しんしんと雪が降り、
わずかな時間で、まるで北の雪国であるかのように様変わり。
もうこの冬は雪の積もる街を見られないかと思ったけれど、
思わぬときに思わぬ形での、雪景色。
乗ってきた自転車を押しながら、まだだれも歩いていない雪道を、
雪のやわらかな感触と、それを踏みしめて歩く感触を味わいながら、歩いて帰る。
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中村えい子さんの作品のこと

哲学の道にあるギャラリー花いろさんで、中村えい子さんの「手織りArt〜おしゃべりな糸たち〜という個展が今日まで開催されているというので、お散歩がてら見に行ってきた。

コットンやシルク、ウールなど様々な種類、太さ、テクスチャの糸で織られた織物。どれも平坦ではなく、織物自体に凸凹とした起伏があったり、ぽこぽこと糸が飛び出しているところがあったり、編み目にも大きなところや小さなところがあったり…。

また、その色も単に「グラデーション」というには収まりきらない、様々な色の糸が複雑に織り込まれているものでとても表情豊かな織物だった。なんだか織物自体が生きて呼吸しているみたいな…。

ご本人もいらっしゃったのでいろいろとお話をうかがった。一番印象的だったのが、作るときには全体の「イメージ」はあるが、具体的にここをこうして…という「計画」のようなものはなく、だから当然下絵なども書かない、ということ。
ただ今日織る部分(小さな織り機の、これから織る部分)で、自分が、いいな〜と思うように、あるいは、ここはこうしてみようと思うままに織っていくのだ、と。そして、そのようにして毎日毎日織っていくと、その結果としてこういう作品ができる、というのだった。

これほどまでに複雑で豊かな世界が、実は全体としてあらかじめ計画されて作られたものではなく、今、目の前にある部分を、自分が「いいなー」と思うように織っていった、その一つの結果として最後になって初めて現れたものなのだ、ということをとても興味深く思った。

自分があらかじめ決めた通りに(すべてを自分でコントロールして)作られた作品ではなく、全体としてどうなるか自分でもわからない、というところを含んでいる。動きのある、そしてどこか呼吸する音が聞こえてきそうな作品…。

織物は経糸と緯糸があって、それらを交錯させて織り上げていく。その中で経糸はあらかじめ決められているもの。それにどう緯糸を入れていくかによって織物に表情が出てくる。

経糸は決められているものだけれど、緯糸の入れ具合や、経糸それ自体を左右にずらしたりして糸の密度を場所によって変えることで、実は経糸だって変化させられるのだ、とおっしゃっていたことが印象的だった。

 

 

 

笛の音

昨日、陽光に誘われて自転車を走らせていると、市役所の前の通りにすごい人。
何かあるのかなと思って見てみると、いろいろな地域の祭りのパレードでした。
徳島の阿波踊り!

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わたしは、女性が笠をかぶって舞うこの踊りが大好きです。
手の動きや足の運び、全体のシルエットがなんとも美しい!
ちょっと「波」を思わせるような動きです。
そして、少し腰を落として踊る男踊り。
見ていてなんだかとても楽しい気分になってきます。

♪踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん♪というけれど、この踊りを見、そしてあの笛と鉦の音を聞いていると、本当に身体がうずうずしてきます。

阿波踊りと言えば思い出すのが、高校生の時に古典を教えてくれていた女性の先生。徳島県出身のその先生は、一度だけわたしたちの前で踊りを見せてくれたことがありました。

しかし、実際に本場の阿波踊りを観に行ったことはまだ一度もなく…。パレードという形ではあるものの、このように連で踊っているのを目にしたのは生まれて初めてだったので感激…でした。一度本場で見てみたいものです…!

通りすがりだったのですべての祭りは見られなかったのですが、
他にこんなのも見せていただきました。

乙部さんさ踊り
軽やかにステップを踏みながらの軽快なバチさばき…
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遠州 横須賀三熊野神社の祭礼の際にひきだされる「ねり(山車)」
頭を左右にふるようにして、ゆっくりと前に進んでいました。
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とても大きな笛。落ち着いた雰囲気の、独特の旋律。
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パレードという形で、次から次へと出てくるいろいろな地域の祭りを目にしていると、まるで日本全国を瞬間移動で旅しているような感覚になりました。

 

 

 

Mother of Pearl

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あまりに美しい表情にひとめぼれしてしまったアンティークの白蝶貝のボタン…。
温かみを感じさせる丸いフォルムと、上品な光沢と、
やさしい乳白色の色と、なんとも言えない絶妙な厚みと、
そしてそれらが合わさって全体として醸し出される、
女性の柔らかで滑らかな身体を思わせるような雰囲気と…。
多くは語らないけれど、その佇まいがすべてを語っているような、
そんな存在感。
白蝶貝は、マザーオブパール(Mother of Pearl)、
つまり真珠を作るときにその母となる貝、真珠を生み出す貝…なのだそうです。

ほりだしもの

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幼い頃から小学生くらいまではずっと祖母が縫ってくれた洋服・着物を着て育った私。
今使っている裁縫道具やミシンも、多くは祖母から譲ってもらったものです。
祖母の家にいくと、ときどき長い時間を経て姿を見せる、
ちょっとどきりとするものたちに出会います。
そんなものの一つ、「お縫物針セット」。
「太陽生命」と書いてあるので、おそらくいただきもの…。
中はこんな感じ。和裁用の針や刺繍針、そしてマチ針がずらり。
こんなのをもらえるなんて素敵!
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上には「誕生石と結婚記念式」が書かれています。
1月誕生石 ガーネット 貞操・友愛
2月誕生石 アメシスト 高い徳と理想…
紙婚式 (1年目)
綿婚式 (2年目)… 
これからお嫁にいくお嬢さんが持つ「お縫物針セット」というようなイメージでしょうか…。
いつ頃のものか定かではないけれど、
こういうものを粗品としていただけるような時代があったのだなー
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