出会ったもの・こと」カテゴリーアーカイブ

宵山

7月21日

夕方から祇園祭・後祭の宵山へ。
前祭、後祭と分けて行われるようになってから行くのは初めてでした。

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一つにまとめて行われていたときは、人出が多くて、ゆっくり鉾や山を見ることができなかったけれど、今回は人も少なく、流れもゆったりとしていたので、一つひとつの山や鉾、その懸装品、商家や旧家などに飾られている屏風などもじっくりと見られました。

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ちょうど日が暮れ始めたころ、提灯に明かりがともって、お囃子も…。

南観音山
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太鼓のリズムが複雑で、聴き入ってしまいます。

そして、ちまき売りのわらべ歌…!
わかりにくいかもしれませんが、写真一番手前のろうそくの後ろに、数人の子どもが座って、声をそろえて歌っています。

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これがなんともいえない味わいで。

 

八幡山の歌

♪八幡さんの厄除けのお守りはこれより出ます
御信心(ごしんじん)の御方様(おんかたさま)は、受けてお帰りなされましょう
ろうそく一丁献じられましょう
ろうそく一丁どうですか〜
ちまきどうですか〜
おまもりどうですか〜
鳩笛、鳩鈴どうですか〜♪

 

ゆっくりと祇園祭の宵山を楽しんだのはほとんど10年ぶりくらいだったけれど、山や鉾、懸装品や屏風など、10年前に見たものと同じものでも、見た時の印象や目にとまるところが違ったりして、年を重ねるごとに、違った面を楽しめるお祭りなのだなあ、と実感…。

いつもの見慣れた町に山や鉾が建ち、お囃子やちまき売りの歌が聞こえ、うちわ片手に、いつもとは違った風景、町全体の雰囲気を味わう……
わたしにとっては、これが宵山の一番の魅力ですが、前祭と後祭という昔の形に戻ったことで、こういった祇園祭ならではの風情を、より感じられるようになったなあという印象です。

 

 

 

小さな襟の物語

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可愛らしい葉や実の模様が手刺繍によって施されたアンティークの襟。
下のレースは、ひと針ひと針、手で縫い付けられています。

細やかで丁寧で、そして繊細な手仕事が生み出す、独特の存在感…。
さらにそれが”使われる”ということのなかで醸成されていく雰囲気が加わって、それは単なる”もの”であることを超えて、それを見る者、手にとった者に、ある情感を、心地よさをもたらすものに。

その心地よさは、この小さな襟から、作り手の想いやそれを使っていた人の想い、そしてそれを大切に取っておいた人の想いというものが、ひしひしと伝わってくることによってもたらされるもの…のような気がします。

 

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無農薬の…

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いただいた無農薬栽培のにんじん。
生きたにんじんの匂いがする!
農家の方から直接買ったものだそう。

そうそうにんじんってこんな匂いだった、と思った。
そのままぱくりと齧り付きたくなる、この匂い。

 

匂いだけではない。
どれ一つとして同じ形はない、それぞれに個性的なにんじんたち。

スーパーに並ぶにんじんには、こんな匂いはなく、
しかも、どれも同じようなまっすぐの形…。

 
 

身体に入れるものは、
できるだけ畑の匂いのするもの、土の匂いのするものがいい。

 
 
 

冬至を過ぎ…

昨日22日は冬至。
夜、いただいた柚子をお風呂に浮かべて柚子湯に。
柚子の香りに、心身ともにすっかりほぐされました。
古くからの言い伝えでは、この柚子の香りが魔除けの役割を果たすのだそうです。

そして……
冬至と言えば、かぼちゃやこんにゃく、小豆粥を食べるとよいなどと言われますが、京都では冬至に「ん」の字が二つ付くものを七つ食べるとよいと伝わるそうです。
「ん」の字の二つ付くものとは、
「なんきん(かぼちゃ)、にんじん、れんこん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん(うどん)」。
運、鈍、根にあやかって幸福になれるのだとか。

冬至を過ぎてここから日脚は伸びていきますが、実際、寒さは厳しくなり、本格的な冬はこれから…です。

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有線七宝との出会い

季節は移り変わり、すっかり冬の空気に。
この秋、並河靖之七宝記念館に足を運びました。

地下鉄の駅まで歩く道の途中にある、京都の伝統的な町家建築。
「並河靖之七宝記念館」という看板……。
大きな通りから一本北に入ったところにあるので、あまり目立たないし、観光客の方がよくいらっしゃるという風でもなく、実にひっそりと建っているのですが、趣のある立派な建築だし、「七宝記念館」とあるし、ずっと気になる存在でした。

けれど、季節によっては閉館している時期もあり、気になりながらも、近所なのに(近所であるがゆえに?)なかなか行くことができていなかったのですが、それがようやく実現しました。

 

今季は、「並河七宝と下画」と題した特別展が催されていて、並河氏の手になる、すばらしい有線七宝の作品とともに、それらの下画を拝見することができました。

下画の中で最も強く惹かれ心に残ったのは、季節の草花の下画。
わたし自身、草花が好きだということもあるのですが、それぞれの季節の木や草花の特徴、佇まい、雰囲気が実によく捉えられていて、どこまでも細やかで繊細、全体的には日本画特有の静けさが漂う風でありながら、植物の秘める生命力と躍動感のひしひしと伝わってくる画でした。

そして、その下画をもとに作られた七宝作品の数々……。
“有線七宝” というものを、今回初めて知り、初めて目にしたのですが、その品のある佇まいと、決して “主張” しているわけではないのに、作品から醸し出される存在感に圧倒されました。

細やかな絵柄、斬新な色づかい、そしてその絵柄の配置の美しさのみならず、地と絵とを区切る “輪郭線” 、さらに作品自体が持つ “輪郭線” の際立ち、その線の持つ力が、有線七宝ならではの、繊細で奥ゆかしい世界を生み出しているのだろうと思います。

直接手で描くのではなく、

金や銀の細いリボン状の金属線を貼付ける(植線)
→その線と線の間に釉薬を挿す
→焼成する
→研磨する
(これを繰り返す)

という一連の工程の中にある “制約” によって生まれる力、美しさ……。

 

今季の展示は12月14日までだそうで、もうあまり日がないのですが、毎年、春と秋に特別展が開催されているようなので、もしお近くに来られることがあれば、ぜひご覧になってみてください。

旧並河邸(並河靖之氏の工房兼住宅)がそのまま記念館となっていますので、展示作品だけでなく、旧窯場やお庭を含む私邸の一部も拝見することができます。

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