初春・文楽

2016-01-08 15.30

昨日は、大阪の日本橋にある国立文楽劇場に文楽を観に。
文楽を観るのは数年ぶりだったので、年末からとても楽しみにしていました。

演目は、新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)/関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)/釣女(つりおんな)の三本立て。
目当ては、お染め久松の物語である新版歌祭文だったのですが、どれも面白いものでした。

2016-01-09 09.34.34

文楽は、何といっても人形に表情のあるのが魅力的です。
人形だから基本的には顔の表情は変わらないはずなのに(一部の人形では目や眉が動くようになっているものもありますが…)、三人の人形遣いによる人形の身のこなしや、一つ一つのしぐさ、細やかな手の動き、そして太夫による語り、三味線の音などによって、実に複雑で多様で、繊細な心の動きがそこに生まれ、それぞれの人形が本当に生きて動いているような、そんなふうに見えてくるところが面白く、何度行っても魅了されます。

人形の動きでいうと、キセルを吸ったり、お灸を据えたり、針に糸を通して縫い物をしたり、髪を櫛でとかしたり、お化粧をしたり、まな板の上で野菜を切ったり…と、人形の世界のなかで、人間がやっているのと同じように、細かな動作を実際にしているのを見るのも楽しく、動きにユーモアもあって、そこがまた素敵…。

その他にも、太夫による語り(節回し、言葉遣い…)、三味線の音色、三人の人形遣いの表情や動き、舞台装置、人形の衣裳…など、見るべきものががたくさん。

今となってはもう古いと思われるようなお話もあるかもしれないけれど、そういったことを超えて、現代でも(もっというと、時代にかかわらず)心に響いてくる要素や、現代だからこそ楽しめる要素のたくさんある舞台芸術であるように思います。