月別アーカイブ: 2014年12月

一年の終わりに

今年も一年、たくさんの方にご来店いただき、本当にどうもありがとうございました。

online shop ではありますが、今年も、お客さまとの久しぶりの再会や新たな出会いがあり、わたしにはもったいないほどの心温まるお言葉をたくさんいただきました。
みなさまに支えられて、こうして一年を終えられることに感謝の気持ちでいっぱいです。

わたしにとって2014年は、表面的に見ればとりたてて大きな出来事があったというわけではありませんでしたが、日々の暮らし方や心のあり方に変化の多くあった一年でした。
年を経るごとに、一年が過ぎるのが早くなっていくような感じがしますが、でも確実に今のわたしと昨年のわたしとは違うわけで、そうやってしっかり一年づつ年をとっているのだな、と実感するこの頃です。

相変わらずのゆったりのんびりペースですが、これからも、わたしなりの “ものづくり” ができればいいなと思っています。
来年も shiroi mokuren をどうぞよろしくお願いいたします。

2015年、どうかみなさまにたくさんの幸せが訪れますように…!
ありがとうございました。

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冬至を過ぎ…

昨日22日は冬至。
夜、いただいた柚子をお風呂に浮かべて柚子湯に。
柚子の香りに、心身ともにすっかりほぐされました。
古くからの言い伝えでは、この柚子の香りが魔除けの役割を果たすのだそうです。

そして……
冬至と言えば、かぼちゃやこんにゃく、小豆粥を食べるとよいなどと言われますが、京都では冬至に「ん」の字が二つ付くものを七つ食べるとよいと伝わるそうです。
「ん」の字の二つ付くものとは、
「なんきん(かぼちゃ)、にんじん、れんこん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん(うどん)」。
運、鈍、根にあやかって幸福になれるのだとか。

冬至を過ぎてここから日脚は伸びていきますが、実際、寒さは厳しくなり、本格的な冬はこれから…です。

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有線七宝との出会い

季節は移り変わり、すっかり冬の空気に。
この秋、並河靖之七宝記念館に足を運びました。

地下鉄の駅まで歩く道の途中にある、京都の伝統的な町家建築。
「並河靖之七宝記念館」という看板……。
大きな通りから一本北に入ったところにあるので、あまり目立たないし、観光客の方がよくいらっしゃるという風でもなく、実にひっそりと建っているのですが、趣のある立派な建築だし、「七宝記念館」とあるし、ずっと気になる存在でした。

けれど、季節によっては閉館している時期もあり、気になりながらも、近所なのに(近所であるがゆえに?)なかなか行くことができていなかったのですが、それがようやく実現しました。

 

今季は、「並河七宝と下画」と題した特別展が催されていて、並河氏の手になる、すばらしい有線七宝の作品とともに、それらの下画を拝見することができました。

下画の中で最も強く惹かれ心に残ったのは、季節の草花の下画。
わたし自身、草花が好きだということもあるのですが、それぞれの季節の木や草花の特徴、佇まい、雰囲気が実によく捉えられていて、どこまでも細やかで繊細、全体的には日本画特有の静けさが漂う風でありながら、植物の秘める生命力と躍動感のひしひしと伝わってくる画でした。

そして、その下画をもとに作られた七宝作品の数々……。
“有線七宝” というものを、今回初めて知り、初めて目にしたのですが、その品のある佇まいと、決して “主張” しているわけではないのに、作品から醸し出される存在感に圧倒されました。

細やかな絵柄、斬新な色づかい、そしてその絵柄の配置の美しさのみならず、地と絵とを区切る “輪郭線” 、さらに作品自体が持つ “輪郭線” の際立ち、その線の持つ力が、有線七宝ならではの、繊細で奥ゆかしい世界を生み出しているのだろうと思います。

直接手で描くのではなく、

金や銀の細いリボン状の金属線を貼付ける(植線)
→その線と線の間に釉薬を挿す
→焼成する
→研磨する
(これを繰り返す)

という一連の工程の中にある “制約” によって生まれる力、美しさ……。

 

今季の展示は12月14日までだそうで、もうあまり日がないのですが、毎年、春と秋に特別展が開催されているようなので、もしお近くに来られることがあれば、ぜひご覧になってみてください。

旧並河邸(並河靖之氏の工房兼住宅)がそのまま記念館となっていますので、展示作品だけでなく、旧窯場やお庭を含む私邸の一部も拝見することができます。

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