春の味 日差しが暖かくなってくると思いだす味があります。 少し苦くって、でも土の匂いと春の青々とした生命力を感じさせるような味… 実家近くの土手に、ぽこぽこと小さな可愛らしい頭を出しているのを、 一本一本丁寧に摘んで帰った土筆。 家でそれを料理してくれるのは、いつも決まって父でした。 土筆入りの卵焼き。 土筆と聞くと、陽がいっぱいに差す中で摘んだやわらかな土筆の感触と、 緑の匂いと、この土筆入りの卵焼きの味が、いつも一緒になって思い出されます。